アンパンマンがばいきんまんにトドメを刺さないわけ

2018年5月10日

アンパン

娘に付き合ってアンパンマンを観まくっているうちに、私も順調にアンパンマンマニアに近づいてきました。

お前それ、パン工場でも同じこと言えんの?

アンパンマンに詳しくなるにつれ、世間一般のアンパンマンへの理解の浅さにガッカリするばかりです。

「ピンチになる前に先制攻撃アンパンチしろ」

「バイキンマンはアンパンマンを追い詰めたらきっちりトドメをさせ」

「ジャムおじさんとバタコさんは同棲してるの?」

など、アンパンマンという作品の正しい知識がないために出てくる薄っぺらい質問の数々・・・アンパンマン大図鑑を100回ほど読み返してから同じことを言ってみて欲しいものです。

中でも今回は、

「アンパンマンはバイキンマンが二度と悪事を働けないように、きっちりトドメをさせ」

という、ジャムおじさんが聞いたらガチギレ間違いなしの質問について考えてみたいと思います。

ばいきんまんは大人じゃない説

最初に確認しておきたいのですが、みなさんは作品中におけるばいきんまんの年齢はどれくらいか、考えてみたことがあるでしょうか。アンパンマンの世界観には寿命という概念はありません。なので老衰でキャラがボケたり亡くなったりすることはありませんが、年齢という概念はおぼろげながら存在しています。主要人物を見てもジャムおじさんは明らかに年長者ですし、学校にはミミ先生と子どもたち、町にいけばたくさんの家庭がちゃんと生活していて、お父さん、お母さん、そして子どもがいます。中には「そらまめおばさん」とその子どもたちである「そらまめあかちゃん」や、「カバオくんとカバオくんのママ」など、親子関係を持ったキャラもたくさんいます。

そんな世界で、ばいきんまんはどれくらいの年齢だと思われているでしょうか。世界観にそぐわないほどの科学力・工業力を持ち、たったひとりでバイキン城という城を作り、UFOを作り、ロボットを作っているばいきんまんですから、あの世界では大人のように思われているでしょうか?

答えはNOです。ばいきんまんはあの世界においてまだ子どもですし、実際に他のキャラクターからは子ども扱いされています。

てんどん母さんやでかこ母さんなど、母親的ポジションのキャラと絡む話では、しばしば子ども扱いされるばいきんまんを見ることが出来ますし、例えば「286話のドキンちゃんとヘルスメーターマン」では、体重のことで悩むドキンちゃんに、てんどん母さんが「ドキンちゃんはまだ若いんだから…」と話す場面も見られます。ドキンちゃんとばいきんまんは明らかに同世代でしょうから、大人のキャラから見ると彼らが若い(または幼い)と捉えられているのがよく分かります。474話「ばいきんまんとでかこ母さん」などは、ばいきんまんがでかこかあさんに寝かしつけてもらうという人気のストーリーで、ばいきんまんがかなり小さい子扱いされていることが分かると思います。

極めつけはアンパンマンが、悪事をはたらくばいきんまんを見つけた時の定形的セリフです。

「いたずらはやめるんだ!ばいきんまん!」

そう、いたずらなんです。明らかに町を破壊し、人命を危険に陥れているにも関わらず、ばいきんまんのやっていることは「犯罪行為」ではなく、あの世界では「いたずら」と考えられているのです。若者、あるいはママに寝かしつけてもらうほど小さな子がやった「いたずら」なのですから、トドメをさすなどという物騒なことを考えるはずもありません。ちょっと懲らしめてやれば済むことです。

そもそも殺そうとしてる説

ちなみにばいきんまんにトドメを刺さない理由、という点では、別のアプローチから考えることもできます。

それは、「何度もトドメを刺そうとして失敗している」という説です。

ばいきんまんの弱点は言わずと知れた「せっけん」ですが、ばいきんまんは何度も洗浄され、この世から抹消されそうになっています。アンパンマンの初期の絵本では、みんながニコニコ顔でばいきんまんを洗浄するという、ばいきんまん的には完全にリンチともとれる方法で懲らしめられている場面が見られます。ちなみにばいきんまんにとってせっけんは弱点ではあっても致命的ではないのか、身体が小さくなるだけで命まではなくしていません。

他にも、ストーリーが宇宙のどこかを舞台に展開された場合はドキンちゃん共々宇宙のどこかに置き去りにされたり、映画版では全身ボロボロでベッドに横たわっていることもあります。アンパンマンにやられた影響で身体が小さく、身体の模様もまだら状になり、自作とおぼしき機械装置で自身の身体を再生する場面もあります。つまり、何度も死にかけたり、自然治癒しないレベルの怪我を負っては、科学の力で身体を再生しているのです。

通算で1000回を遥かに超える回数、殺そうとしても死なないわけですから、アンパンマンも積極的にトドメを刺そうとしなくなり、適当にアンパンチで追い払うようになるのも無理はありません。

アンパンマンたのしいです

さて、自分でもなんでこんなどうでもいいことを長々と書いたのかよくわかりませんが、まじめにアンパンマンを見ると大人でも結構楽しいので、積極的にオススメしていきたいです。

私と娘はロールパンナちゃんが好きです。

じぃーまでした。