現実(リアル)をフォールアウト並にやり込む

2016年1月3日

オープンワールドゲームというものがありますね。現実のように作りこまれた世界の中を自由に、勝手気ままに行動するのを楽しむゲームです。

ベセスダ・ソフトワークスの「フォールアウト」や「エルダースクロール(スカイリムと言わないと一般的に通じない!)」シリーズは続編が出るごとにリアルさと自由度を増しており、年末に発売される「フォールアウト4」にも期待が高まりまくってシリーズのファンは今から大変なことになっています。

ところでこの手のゲームについて語り合う掲示板ではほとんどテンプレ的なやりとりがありまして、こういうやつです。

「続編では◯◯できるようにしてほしい、もっと◯◯をリアルに作り込んでほしい」
「ドアを開けて外に出ろ」

まぁこれはただの煽り文句ですが、それにしても「まるで現実のようなゲーム」は楽しくて仕方ないのに、「現実の世界」は楽しくないというのは不思議な話です。

ゲームはどんどん進化して現実に近づいています。しかしここはひとつ逆に考えて、「現実」の方を「オープンワールドゲーム」に近づけてみれば、現実をもっと楽しく感じて、やりこみプレイに興じることができるようになるかもしれません。

というわけでさっそく、現実をやりこみプレイするための方策を考えてみましょう。

人にどんどん話しかけよう

なぜかオープンワールドゲームのプレイ中って、誰もが異常に社交的ですよね。

知らない人でも構わず話しかけて情報を収集するのはもちろん、細かい性格の人は登場するキャラクター全員に何度も話しかけて、会話のパターンを網羅しようとさえします。普段はパソコンの画面としか喋らない私も、ゲームのなかでは積極的に話しかけまくります。

こんなん現実ではあり得ないですよね。私なんて知らない街に行ったらできるだけ目立たないように、コソコソと隠れるように行動しますよ。「ヘイヘイ、あんなところに田舎モンがいるぜ!乗ってきた馬はどこだ?」とかいわれたら怖いじゃないですか。

例えば現実の世界で、降りたことのない駅で初めて下車したときに、

ここが蒲田か・・・デデデン!(発見:蒲田の街 +20EXPという脳内アナウンス)

さて、さっそく情報収集(クエスト探し)だ!

なんて人、いないですよね。そんな人が片っ端から街に人に話しかけたり、「この街で情報が集まる酒場はどこですか」なんて聞いて回ったら怖すぎです。事案発生です。

ましてや初めて会った人を相手に会話が続かなくなるほど質問攻めにするなんて絶対にあり得ません。

しかし積極的に人に話しかけることによって、ただその辺をブラブラするだけでは起きないような出来事や、知り合うことのない人と知り合いになれる可能性が生まれてくるのは確かです。

ナンパ師のごとく道行く人に片っ端から話しかけまくるかどうかはさておき、知り合いや同僚、クラスメートなど、話しかけても不自然じゃない人には積極的に話しかけまくりましょう。

困っているを助けまくろう

オープンワールドゲームの世界では、さっき会ったばかりの人のために命を賭けます。

街でちょっと話しただけの人が「盗賊に大切なものを盗まれて…」といわれれば、大抵のプレーヤーは迷わず奪い返しに行きます。相手が3メートルあるモンスターだろうが、マシンガンとロケットランチャーで武装したモヒカン集団であろうが関係なく血眼で相手を探し出し、命がけで奪い返しにいくでしょう。

しかし、現実ではそうはいきません。

通りすがりの人のために命を賭けるどころか、毎日顔を付き合わせている同僚のために残業して仕事を手伝ってあげることさえしないのが普通です。

人生というオープンワールドゲームを楽しむためには、積極的に困っている人を探し出して、無理矢理にでも助けてあげるという姿勢が必要です。

大きな荷物を持ったおばあさんを見つけたら、

ドコドン!(クエスト発生の効果音) 〜重すぎる荷物〜

お金を貸して欲しい友人がいたら、

ドコドン!(クエスト発生の効果音) 〜金と友情〜

のように、脳内でクエスト名が表示されるようになれば満点でしょう。

オープンワールドゲームではクエストクリアの報酬はお金やアイテム、そして経験値です。現実でも同じように、かけがえのない人生の経験値が得られます。現実では経験値が貯まってレベルが上っても急に強くなったり素早くなったり呪文を覚えたりはしませんが、人間的に豊かになれそうです。

平気で待つ

オープンワールドゲームでは、時間調整のために数時間待つことがよくあります。

例えば「夜中になるとモンスターが現れる」というクエストを朝に受ければ、そのまま夜まで時間をスキップします。ゲーム内では簡単に時間を進めることができるので、現実では数秒です。そのため気軽にやりがちなのですが、現実に置き換えるとすごい話です。

通りすがりの人に夜中に現れるモンスターの相談をしたら、その場に直立不動でモンスターを待ち構えてくれるんです。例えプレイヤーが問題のモンスターに返り討ちにされたとしても、相談した人はその全力で助けてくれようとした姿勢に感動を禁じ得ないでしょう。

しかし現実ではどうでしょうか。

夜に予定があれば、直前までぎっしり予定を入れる。

少し手持ち無沙汰になれば、スマホをいじったりテレビを観たり。

何もせず、数時間後も自分と向き合って直立不動になったことがあるでしょうか。

最近の研究によれば、人はボーっとしているときに脳の「デフォルトモードネットワーク」が活発になり、最高のアイディアや解決策を生み出すんだそうです。

デフォルトモードネットワークとは?ぼんやりと何もしていない時の脳の活動!サイエンスZERO – 気になるネタ

あれこれと予定を入れたり暇つぶしに必死にならず、心に余裕を持ってボーっとする時間を持つことが、現実というゲームを楽しむひとつのカギになりそうです。

歩きまわっても疲れない体力をつける

オープンワールドゲームの主人公は疲れを知りません。

世界が広がるかぎりどこまでも探索し、ダンジョンの奥深くに挑み、果てなき探索を続けます。

しかし現実では、歩くと結構疲れます。その昔、趣味で24時間連続で歩き続けたりしたことがよくあったのですが、若くて体力が有り余っていたあの当時でさえ10時間を超えて歩くと疲れを感じ始め、24時間ともなれば疲労と眠気でかなり辛かったのを覚えています。

身体が疲れると心も疲弊し、やる気も根性も発揮できません。

ゲームの主人公並みの体力とはいかないまでも、疲れを感じにくいぐらいに体力をつけるのが肝心です。

クエストを管理する

ゲーム内では何かしら目標ができると「クエスト」として記録され、その進行度や完了状態がいつでも確認できます。また、目標を達成したときには

ドコドン(効果音)!完了:◯◯

といった具合に目標達成が通知され、プレイヤーに達成感を与えてくれます。

これを現実にも取り入れないわけにはいきません。細かいことも逐一クエストとしてメモやスマホに記録し、進行があった時や達成した時には随時、ドコドン!という脳内アナウンスとともに更新していきましょう(今度、そういうネタアプリ作ろうかな…)。

ドコドン!完了:牛乳を買ってくる
ドコドン!完了:ヒゲを剃る
ドコドン!クエスト更新:尻を拭く(完了)水を流す

これは自分だけでなく、人になにかをお願いするときにも活用できそうです。つまり、

ちょっとお願いがあるんだけど・・・と言われると誰しも身構えてしまいますが、

ちょっとクエストがあるんだけど・・・と言われるとワクワクする気がしますよね。もしくはバカだと思われるでしょう。相手を選んで試しましょう。

自分を磨く

ゲーム内ではみんな、自分磨きに夢中です。

現実では筋トレのキの字もやらない人も、ゲーム内ではせっせと筋力のパラメータを上げ、より多くの荷物を運んだり、重い装備が扱えるようになることに喜びを感じます。

戦わずに難局を乗り切るために交渉スキルを磨くことしますし、より良い装備のために修理や鍛冶のスキルを磨いたりもするでしょう。

こんなに「より快適に生きるために、楽しんでスキルを磨く」人は、現実にはなかなかいません。

現実でも、客観的に自分を見れば、磨いておいたほうがいいスキルや身につけておけば役に立つ技術はいくらでも見つかるでしょう(例えばかな入力とかね!)。

自分の現在の能力を一覧にしてみると、やる気が出てくるかもしれません。あまり実用的ではないですが、そういう感じのアプリもあるようです。

自分のステータスをドラクエ風に表示してくれるアプリ「RPG風ステータス作成 〜LEVEL UP!〜」 | iPhone Express

死ぬことや痛みを恐れない

ゲーム内でケガや死を恐れるプレイヤーはあまりいません。

もちろん死なないように努力はしますが、前述のように他人のために簡単に自分の命を賭けますし、作業の効率を上げるためなら危険を顧みず、命がけの訓練に挑むこともあります。

例えば「スカイリム」では、ダメージを受けると防具や防御技術に関するスキルが向上します。受けるダメージが大きいほど、スキルは効率よく上げられます。これを利用して、巨人族やマンモスのように単純な動きしかできないけど攻撃力の高いキャラクターにケンカを売り、ボコボコにされることであっという間に達人級の防御スキルを身につける手法が存在します。もちろん、少しでもミスれば即死です(巨人にやられると、衝撃で天高く舞い上がるので結構笑える)。

現実に、こんな無謀な鍛え方をする人はいません。強くなるために、ダンプカーに轢かれてみるようなものです。

しかし、誰もやろうとしないリスクを取るということは、ライバルに対して大きくアドバンテージを取れる可能性があるということです。

バカバカしいような無謀な考えでもすぐに否定せず、真面目に命を賭ける価値があるかどうかを見極めることで、難しい問題への新しい解決策が生まれるかもしれません。(ダンプカーに轢かれるのはいいアイデアではなさそうですが)

また、クヨクヨと死や怪我を恐れるより、成功するイメージを持ってチャレンジしていくことが大切でしょう。

気軽に遠出しよう

オープンワールドゲームの主人公は、ちょっとした頼まれごとを解決するために何時間も、あるいは何日もかけて、はるか遠くまで旅に出ます(そして多くの場合、出先で命がけの戦闘になります)。

しかし現実では、ほとんどの人はそんなに気軽に遠出しません。するのは前々から計画していた、まとまった休みの時だけ。急に遠出するのはせいぜい仕事で出張するときぐらいです。「そうだ、京都、行こう」という軽い思いつきで京都に行ける人は珍しいといえます。

もっと気軽に、思いついた時に、好きなときに好きなところに行けたらどんなに素晴らしいでしょうか。

現実の世界は、人生全てをかけて探索しても探索しきれないほど広大で、しかも今こうしている間も片っ端からマップがアップデートされていますので、ゲームのように「探索しつくす」ということが絶対にありません。どのマップも、新しいクエスト、新しいキャラクター、新しいアイテムでいっぱいです。探索しない手はありません。

新しい発見やクエストを期待して、どんどん知らないところにでかけましょう。

ワガママに生きる

オープンワールドゲームは自由です。常にやりたいことだけをやり、死なないように生きて、良いことや悪いことをします。

忘れがちですが、現実の方はもっと自由です。別に何をやっても、やらなくてもいい。死にさえしなければとりあえずオッケーだし詰まないというゆるゆるな仕様、それが現実というゲームです。

にも関わらず、どういうわけか生き死にと関係ないところで無意味に苦しんだり、現実はクソゲーだと認定してしまうプレイヤーの方が多いようです。

もっと自由に好き勝手に、やりたいようにやってみるのが、現実というゲームを楽しむ一番のコツかもしれません。

じぃーまでした。