Dark Messiah of Might & Magicの思い出

Dark Messiah of Might & Magicは剣と魔法のファンタジー世界でモンスターや悪い人間を相手に爽快なバトルが楽しめるゲーム…なのですが、実際のところは卑怯者バンザイ、卑怯者サイコー!という卑怯者を生産するためのゲームです。

このゲームをひと通りプレイし終わる頃には、プレイヤーは立派な卑怯者になっているでしょう。

戦い方が汚すぎる主人公(褒め言葉)

ストーリー的には

闇の救世主(ダークメサイア)の復活により混乱に陥る世界を舞台として、サレス(Sareth)という名の青年が世界の危機から脱するために、闇の勢力との戦いに挑む。
ダークメサイア オブ マイト&マジック – Wikipediaより

という感じで、いかにも主人公のサレスを中心としたヒーローっぽい冒険譚で、まさにその通りに展開していくのですが…主人公の戦い方が…汚いッ!!

  • 崖っぷちにいる敵を背後から蹴り落とす
  • 油を撒いて火を付け、敵を火だるまにする
  • 使えと言わんばかりにそこら中に配置されたトゲトゲに敵を蹴りこむ
  • ハシゴを登っている最中の敵を蹴り落とす
  • 足元を凍らせて敵を転倒させる→そのまま崖の下へさようなら
  • 見張りの順路に地雷魔法を仕掛けてフライアウェイしてもらう
  • 正面から斬り合うと見せかけて手近にある箱やタルを投げつける→転倒した敵をブスリ
  • 敵を洗脳して同士討ちしている様子を見物

etc…
他にもプレイヤーの工夫次第で、いかようにも汚い戦い方ができるゲームです。

下の動画を見てもらえば、どれほど主人公が汚いか分かってもらえると思います。

どんなにいい人でも卑怯者に仕立てあげる絶妙なゲームバランス

どうしてこんなに汚い戦い方になるかといえば、単純に敵が強くて、こちらの肉弾戦が弱いというゲームバランスのせいです。

プレイヤーは好みに応じておおまかに戦士タイプ、暗殺者タイプ、魔法使いタイプのどれかに主人公を成長させることができ、この育成の自由度もゲームの魅力のひとつになっています。

なっているのですが、実際に戦士タイプにしてみると…やたら難しいんですよ。

正面から斬り合うと、いちいち敵が強いのです。

敵と出会う→盾で防御する→斬る→防御する→斬る→防御する→斬る→防御する→斬る→防御する→斬る→防御する→斬る…というのを少なくとも数分間はやらないと倒せません。しかも慣れないうちは結構ダメージを受けますし、複数の敵を相手にするとさらに難易度が上がります。

これに対して卑怯な手を使えば数秒です。しかも大抵は無傷。

焚き火の前でボーっとしている敵を発見したら迷わず焚き火に蹴りこんで火だるまにしてやりますし、

崖っぷちにいる敵は突き落としてやれはそれで終了です。

崩れそうな荷物の下に敵がいればとりあえずぺっちゃんこにして終わりですし、

複数の敵に囲まれたら適当に魔法で同士討ちしてもらえば手を汚す手間も省けます。

さらに悪い(?)ことに、ゲーム内には「使ってくれよ!」と言わんばかりにわざとらしいトラップがたくさん用意されています。

  • 刺さったら死にそうなトゲトゲ、
  • 敵の近くの焚き火、
  • 何人もまとめてなぎ倒せそうな巨大な振り子etc…

たとえば、坂の上から転がしたら大人数をぺちゃんこに出来そうなタルの山が用意されていたとしましょう。そしてあなたは坂の上にいます。坂の下からは続々と敵兵があなたを追って走ってくるわけです…。たとえ正々堂々と戦おうという美しい精神の持ち主でさえ思わずタルを崩してスルメの山を築いてしまうのはしかたのないことでしょう。しゃーない。

転がるタルの群れに引き潰される敵の集団を目にして、最初は「ちょっと人としてどうなの」と思っていたあなたも、ゲームが進むごとに「生き残りがいたらトドメを刺さなきゃ★」ぐらいにしか感じなくなることに気づくでしょう。ほんとしゃーない。

よくできた「いたずら少年のためのゲーム」

2〜3時間もプレイしていると、自然にゲーム内の環境をよく観察するようになり、

あ、あそこに敵をおびき出したら、大荷物の下敷きにして、まとめてひき肉が作れそう!

とか、

この狭い吊橋を凍らせたら、追ってきた敵を次々と転ばせて崖下に叩き落とせそうだな?

みたいな予想が出てくるようになります。まさに気分はやんちゃなイタズラ小僧、ホームアローンのカルキン少年です。このゲームの敵AIは比較的アホなので、これがまた面白いように罠にかかってくれて実にいい気分です。ホームアローンと違って、イタズラにひっかかった相手が概ね即死するのがちょっとアレですが…。

Steam で 50% オフ:Dark Messiah of Might & Magic

価格も据え置き600円、2016/01/04現在ではセール中で300円だそうです。人混みに流されて少年の心を失いつつあるあなた、ぜひ一度プレイしてみてはいかがでしょうか。

押すなよ!絶対押すなよ!というフレーズが頭から離れません。

ちなみにものすごくどうでもいいのですが、ゲーム内のミニゲームで金属ののべ棒を溶かして叩いて剣を作るものがあります。ゲーム的には全然重要でもないしやってもやらなくてもいいのですが、なんか好きです。

じぃーまでした。