ベルトロガー9の思い出

ベルトロガー9

その昔、最高にイカしたロボットゲーを作る会社がありました。

これはその最高にイカした会社が作った数多くのロボットゲーの中で、ある種の集大成的なゲームでありました。

というわけで初代PS「ベルトロガー9」の思い出です。

PSでロボットといえばアーマード・コアが有名かつ名作ですが、ほとんど語られることのないこの「ベルトロガー9」も最高の名作の一つです。同じロボットゲーでも方向性がアーマード・コアとはぜんぜん違うので、どっちが優れているというわけではありません。っていうかどっちも好きです。

アーマード・コアは「ロボットのカスタマイズ」に重点を置いたミッションクリア型のゲームですが、ベルトロガー9は「ダンジョン探索型」のゲームです。延々と1人でロボットに搭載されたコンピュータの抑揚のない声を聞きながら、薄暗いマップを探索していきます。

ちょいとムービーを見ていただければ分かると思いますが、当時としては画期的なレベルのグラフィックに驚きます。ゲーム自体もものすごい完成度で、操作性、戦略性、雰囲気、どれひとつ取っても素晴らしいの一言です。

どうしてこんなに完成度が高いかといえば、このゲームを作った元気という会社、初代PSがまだセガサターンと覇権を争い始めた初期の頃から似たようなゲームを作っていたのです。

それが「キリーク・ザ・ブラッド」というシリーズの2作品で、私が人生で初めてポリゴンのゲームに触れたのがこの「キリーク・ザ・ブラッド」でした。

これはプレイステーションの初期に発売されたにも関わらず、ムービーのクオリティが異常に高いといえます。まだ小学生だった私が度肝を抜かれて眠れなくなったのも無理はありません。当時は怖くて1人でプレイ出来なかったので、せっかく家にやってきた初代PS(最初期モデル)がなかなか活躍できませんでした。なんでこのゲームチョイスしたんだ親父。

さすがに操作性や戦略性は現代のゲームと比較できるものではありませんが、それでも十分なほどに高い完成度を誇っていました。ゲーム内の雰囲気は今から見てもまったく遜色なく、やたらと恐怖感を煽るBGMを聞きながら、いつ暗闇から敵が飛び出してくるかと緊張しつつ、

「バッテリーが残り僅かです」

「バッテリーが残り僅かです」

「バッテリーが残り僅かです」

「バッテリーが残り僅かです」

と連呼しまくるコンピュータボイスに怯えて進むのは最高の体験のひとつでしょう。バッテリーマジ大事。

続々のキリーク2はストーリー性が大きく向上し、またリアルさも格段に増しました。個人的には敵のロボットに照準を合わせるとコンピュータボイスで解説が入るところと、途中で自分のロボット(劇中ではプロテクトアーマーと呼ばれる)の最新型を強奪して乗り換えるところが最高に胸熱です。

これらキリークシリーズで蓄積したノウハウを惜しげもなく詰め込み、またジャンプアクションを加えたことにより、立体的な戦闘ができるようになったことで戦略性が格段に増し、最高の仕上がりになっているのが「ベルトロガー9」というわけです。

しかしながら、キリークシリーズからベルトロガー9に至るまで、残念ながらそれほど大成功したとは言えないようです。だって誰も知らないじゃん?

まぁ考えてみれば簡単で、全作品通して雰囲気がハードかつ暗すぎるんですよね。

延々と1人で暗いダンジョンを探索するキリークシリーズはいうに及ばず、ベルトロガー9も全力で真っ暗です。

最初の突入時に怪しい精神薬を勝手に打たれて強気になった味方はとっとと自爆しちゃうし、

最初の大型ボスなんて、味方が取り込まれてるせいで攻撃できず、「味方識別信号アリ」っていうロボットボイスを聞きながら右往左往しているうちに取り込まれてる女性が自爆しちゃうし。マジで憂鬱。

結局、ハードな雰囲気が楽しめて、しかもコアなゲーマーというやたら厳しい条件をクリアした人にしか楽しめない作品なので、大ヒットしなかったのも無理はないでしょう。

ちなみにこの後、元気もさすがに反省したのか「ファントムクラッシュ」というさらに最高のロボットゲーを販売しました。

これはスポーツとしてロボットバトルをする、という設定のため雰囲気がとても明るく、とっつきやすさがありました。そして人が死なない(重要)。

しかしながら戦闘のハードさ、ロボットのカスタマイズ性がかなりガチで、やはり一部のハードなゲーマーに愛される作品であった上に、なんとXBOX(初代)という、さらに人を選ぶハードでの販売となりました。なぜこんなに人を選ぶ方向に突き進んだのか…やりようによってはアーマード・コアのように人気シリーズになれたのではないか…そう思うと悲しくなりますが、きっと色々な事情があるんでしょうね。

キリークシリーズとベルトロガー9はゲームアーカイブスでダウンロードできるので、興味のある方はぜひ。っていうか私がやりたい。

じぃーまでした。