看病日記:人間の適応力ってすごい

2016年5月13日

ホスピターーール(挨拶)!今日も病院からお送りします。

おかげさまで子どもの白血病治療も予定通り進んでおります。日々副作用で苦しそうにしたり、逆にハイになったりと大忙しですが、基本的には子どもが想像よりずっと落ち着いているので、日々のんびりと過ごせていると思います。

慣れなくて寝不足に苦しんでいた病院での宿泊ですが、ずいぶんマシになってきました。何が変わったというわけではないですし、別に何一つ問題が解決したわけではないのですが、それでも1ヶ月以上もこの生活を続けていると少しずつ身体が慣れてきて、初めの頃よりずっと気力が充実しております。人間の適応力ってすごいですね。

思えば私も色々なところで寝てきました。そして色々な環境に慣れてきました。

学生の頃は若気の至りというアレで、半月ほど野宿をしたこともありました。

野宿生活も初めの頃は辛かったですが、終盤になるとすっかり慣れて、朝起きた瞬間にラジオ体操のオバ様に囲まれたり、一緒に寝ていた後輩が何かの虫にやられて両目が開かなくなっても比較的動じないようになったのを覚えています(後輩は死にそうだったけど)。むしろ慣れすぎて、天井があるところで寝ると閉塞感を感じたりしました。あ、なんか今、書いてたら野宿したくなってきたぞ!この歳で公園で寝たら、ただのホームレス!若さって大事!

社会人になってからも仕事の都合で1年くらいのうちに3回も引っ越しました。どのアパートも決して良い物件とは言いがたかったですが、やっぱり住んでいるうちに慣れました。

隣の部屋の声が筒抜けだった日野市のボロアパート、クッソ狭かった千葉のアパート、車なしでは家まで辿りつけないほどド田舎で、普通にカブト虫が採れた埼玉北部のアパート…

ただ1件だけ、どうしても慣れない物件がありました。今も忘れない、独身時代の最後に住んでいたアパートです。

この物件は当時勤めていた会社の最高にやる気がない人事部の担当者が最高のやる気のなさを発揮して斡旋してくれた最高に適当な物件でした。どれくらい適当かというと、資料に「キッチンあり」と書いてあるのに間取り図にキッチンがなく、どういうことか訪ねてみると人事部の担当者が間取り図に手書きで「キッチン」と書き足すぐらい適当な物件でした。後から書き足されるキッチンってなんだと思いましたが、実際に見てみると間取り図に書き忘れるのも無理はないレベルの粗末極まるキッチン(笑)がありました。2回ぐらい目玉焼きを焼いて、すぐに使うのを諦めました。

しかもこの物件、下見すらさせてもらえませんでした。「カギ渡すからあとよろしく」という感じでいきなり住み始めることになり、見た目のボロさも相まって不安でいっぱいでしたし、実際その不安は的中しました。

というのもこの物件、最強レベルのゴキブリ屋敷だったんです。

家に帰ると必ずG様がお迎えに来てくれるのはもちろん、残業続きで寝る以外にはほとんど家にいないにも関わらず毎日2回は遭遇するというバツグンのエンカウント率。極めつけはエアコンで、どうも壁の中に巣があって、それがエアコンとつながっているらしく、スイッチを入れると送風口からG様が自販機のジュースのように落ちてくるというホラー仕様。これはもう「キッチンあり」の横に、「G生成装置あり」も書き足しておくべき。本当に適当な資料ですね。こんな資料で社員に物件を斡旋する人事部の担当者はG生成装置の下に立ってスイッチを連打されるべきだと思う。

これがRPGならレベル上げにぴったりのダンジョンなのですが、残念ながらここはダンジョンではなく自宅です。しかもモンスターが出るので、宿泊してもHPが回復しません。

半年ほどかけてG様を全滅させることに成功しましたが、それまでは本当に家に帰るのが憂鬱でした。幸いにして当時は忙しかったので、ほとんど家にいる時間はありませんでしたが。とにかくこの家は、私の適応力を持ってしてもぜんぜん慣れることができない稀有な例でした。Gは無理。

ただ悪いことばかりというわけでもなく、家に帰るのが憂鬱だったので、当時の彼女のところに転がり込むことが極端に増え、結果として結婚することになったのも事実です。いや、別にGのおかげで結婚したわけではないですが…彼女と一緒にいたかっただけだし…きっかけっていうか…ねぇ…?

まぁ何が言いたかったのかよく分からなくなりましたが、とにかくこれだけは間違いありません。

Gは無理。

じぃーまでした。